日常

友人との約束にだけ遅れてくる人

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守られない時間

吉田は仕事の時間は守れるのに、友人との約束には平気で遅れてくる。

遅れてきたとしても申し訳ない顔もしない。平然とした顔で、まるで当初からこの時間で待ち合わせていたかのように現れる。

正直、待たされている側は楽しいものではない。待ち合わせ時刻に「遅れないように」と準備をして来ているのだ。その行いが無駄だったと思うと少なからず腹が立つこともある。

しかし、なにも悪びれていない顔を見るとこちらも拍子抜けしてしまう。だからといって許してるわけではない。吉田が遅れるたびに、私は吉田に対する信用が減っていった。

最初の頃は「なぜ遅れたのか」を聞いたし、「どうして遅れるのか」を強めに言ったことがある。これは待たされた人として当たり前の質問だと思う。

でもそのときの答えは「寝坊した」のようなありきたりの理由だった。どんな理由だったら正当に怒っていいのかわからないけど、寝坊に対して怒る自分を想像したらなんだか大人気ない気がしたから「そっか」と流して終わった。

吉田はわざと遅れたわけではないし、困らせてやろうと思って遅れたのではない(たぶん)。でもどうにも引っかかったのは、吉田が「仕事なら絶対に遅れない」と言い切ったことだった。

吉田はどんな場合でも遅れてしまう人ではないようだ。友人(特に私)との約束には遅れるらしい。親しい関係だから遅れてもいいと思っているのだろうか。それともただの無神経なのだろうか。

人のことはお構いなしの友人

薄々は気づいていたけど吉田にとって私は優先順位が低い存在なのかもしれない。そう思わずにはいられなかった。

というのも吉田は私がお腹が空いてもお構いなしでやりたいことをやる人なのだ(私はお腹が空きすぎて気持ち悪くなったことがある)。

なので吉田に会うときはカバンの中に食料を潜ませ、お腹がすいたらぱくっと食べるようにしている。

ここまでしなくても吉田に言えばいいと思う人もいるでしょう。でも言ってわかる人ではないからこちらも困っているのだ。

変化する関係性

約束の時間を平気で破ったり、協調性がない行動に私もさすがに辟易してしまった。

吉田とはもう絶対には会わないとは決めていないけど、吉田に関わるといいことがないと体に刷り込まれた私は積極的に関わらなくなった。

結局、社会的義務は守れるのに私の約束は守れないことに私は傷ついたのだろう。吉田はどう考えているのかわからない。でも私は吉田を信用していないし、もし次待ち合わせをしても約束の時間に来るとは思わない。“またどうせ遅れるのだろうな”と半ば諦めながら電車に揺らるだろう。

信用をなくすのは一瞬だ。でも、関係を絶つのはいつもじわじわだ。
あなたの周りにも、時間を守らない誰かがいるだろうか?

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日常エッセイスト
1984年生まれ。 普段は平凡な毎日を送っています。 小さなできごと(いいことも、わるいことも)を、このブログに書き留めています。
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