村上春樹、河合隼雄に会いにいく

作家の村上春樹と心理学者の河合隼雄の対談が書かれた本を読んだ。私はどちらも好きなので、けっこう楽しく読めた。この二人は外国に滞在したことがあるので日本との比較なども印象的だったし「なるほど」と頷けた。
私にとっては日本らしい考え方は当たり前だから、その考え方を言語化されていて楽しかった。私もたぶん(ぜったいに)日本的なのだろう。
震災のときに日本の若者がコミットしてやってきたボランティアの活動と、アメリカなどでやっているボランティアと、行動がどのぐらいちがうのか、同じなのかということは、興味あるところですね。日本の場合は、どうしてもコミットしだすと、みんなベタベタになるというところがあるのです、一丸になってしまうという。
河合 隼雄; 村上 春樹. 村上春樹、河合隼雄に会いにいく(新潮文庫) (p. 14). 新潮社. Kindle Edition.
レスポンシビリティーにも、個人のレスポンシビリティーと集団のレスポンシビリティーとあるでしょう。日本は集団というか、場のレスポンシビリティーですからね。だから、神戸に地震が起こったということを、なんとなく神戸全体で受け止めているのです。 ところが、欧米人の場合はあくまで個人のレスポンシビリティーですから、それをまたグッと受け止めて辛くなった人はノイローゼになってしまったりするんですね。
河合 隼雄; 村上 春樹. 村上春樹、河合隼雄に会いにいく(新潮文庫) (pp. 19-20). 新潮社. Kindle Edition.
言語的な分析は、問題が通常の意識のレベルに近いところにとどまっている人の場合は、やりやすいのです。ところが非常に深いところに問題がある人は、言語的に分析しようとしても、傷が深くなるばかりで、かえって治らない場合があるのです。だから、問題の種類によってやり方を変えなければいけない、というのがぼくの考え方なのです。
河合 隼雄; 村上 春樹. 村上春樹、河合隼雄に会いにいく(新潮文庫) (p. 24). 新潮社. Kindle Edition.
日本人はファミリー・エゴともまた違って、フィールド・アイデンティティーで、その場その場をアイデンティティーの基礎にしてしまうという、非常におもしろい性質をもっているから、会社をフィールドにしたり、家庭をフィールドにしたりで、その都度うまくやっているのですね。
河合 隼雄; 村上 春樹. 村上春樹、河合隼雄に会いにいく(新潮文庫) (p. 42). 新潮社. Kindle Edition.