日常

静かに腰を痛めた年末

pes

世間では年末だ、クリスマスだ、忘年会だ、と騒いでいたころ(たぶん騒いでた)、私は静かに腰を痛めた。それは突然のことで、なにが起きたかわからなかった。

いつもと同じ朝、腰だけがいつもと違った。腰がなんでもなかった日が思い出せないぐらい痛かった。そしてその日からは、まるで腰を守るために生まれてきたように、腰のことだけを考えて生活をした。

生まれてこのかた、腰を痛めたことはなかった。『ぎっくり腰』のことは聞いていたけど、どこかで自分とは無縁だと思って、生きてきた。まあ自分の腰に根拠はないけど自信があったんですね。

だからって腰にたいして、傲慢に動かしていたわけではない。普通に丁寧に、身体を動かしていた(つもり)。痛めたいま、それも本当にできていたのか自信がない。

では痛めた原因はなんだったのか、と考えてみたけど、もしあるとしたら久しぶりにやったラジオ体操。寒さで縮こまった身体をほぐそうとやったラジオ体操。私の腰はほぐれずにしっかり固まった。

自分がなってみると分かるけど、思った以上に腰を痛めることは辛い。腰は身体の要というけれど、ほんとうにその通りだった。なにをするにも腰を使う。

私はベッドでゴロゴロすることが大好きなんだけれど、腰が痛いときにベッドでゴロゴロすると、それは至福の時間ではなく、地獄の時間だ。ベッド上で痛みと戯れなければならない。少しでも身体を動かそうとしようとするもんなら、痛みがはしゃぎまくる。

「痛い!まいった。勘弁して」と伝えて、わかってくれるような相手ではない。

痛みとの戯れに恐怖を抱くようになり、このまま座って眠れたらいいのに⋯⋯なんて(本気で)思ったくらい。

不自由で思い出すドラマがある。それは『ビューティフルライフ』というドラマ。脚本は北川悦吏子、主演は木村拓哉、常盤貴子、二〇〇〇年に放送された。腕がいい美容師の柊二と、難病を抱えながら車椅子で生活する杏子のラブストーリーだ。

あるとき、柊二は左腕を骨折してしまう。コーヒーを片手に持ち、ミルクを入れたくても人の助けを必要とする状況に、片腕を骨折するだけでこんなに大変なんだ、と改めて車椅子で生活する杏子の大変さを思い知る⋯⋯。

ううん。いまなら私も柊二の気持ちがわかります。当事者になってみないと、わからないことが、この世にはたくさんあるんでしょうね。

今では腰も治って、また普段通りに過ごしている。なにか違いがあるとしたら、腰を痛める前よりも、腰に対して気を使うようになった。

腰の痛みでおろそかにしたクリスマスを取り戻すかのように、陽気なクリスマスソングを聞いています。

ABOUT ME
pes
pes
日常エッセイスト
1984年生まれ。エッセイスト。 小さなできごと(いいことも、わるいことも)を、ここに書き留めています。
記事URLをコピーしました