日常

音に敏感な人との暮らしは、静かすぎてしんどい

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将来(それは遠くない)一緒に暮らす予定の人がいるならば、その人に「テレビの音量はどれぐらいにしてる?」と聞いてみることをおすすめします。そして自分のテレビの音量とあまりに差があったら、一緒に暮らすことを考え直してもいいかもしれません。

生活音に敏感な人との暮らし

一度、生活音にとても敏感な人と暮らしたことがある。

私は上京するまで一軒家に住んでいたためか生活音を気にしたことはなかった。ただ私の隣の部屋には兄がいて壁はあったけど、とってつけたように薄い壁だった。そのため兄の部屋からテレビの音がよく聞こえた。そこに不満はあまりなかったように覚えてる。

上京して一人暮らしをしたときはアパートに住んでいた。そこではさすがに生活音を気にしていたけれど耳を澄まさないと聞こえないようなテレビの音量ではなかった。それで文句を言われたこともない。

テレビの音量

当時お付き合いしていた人がいて、その人の家に行くことがあった。そこでテレビを見ておしゃべりをしてとありきたりな過ごし方をしてた。でもテレビの音量はひどく低かった。そのときちょうど漫才がテレビで放送されていたけど、なにを言っているかわからない。テレビの中ではゲラゲラと笑い声が聞こえるけど、なにで笑っているのかわからない。

全神経を集中させてやっとすこしわかるぐらいだった。

自分の家ではないのでテレビの音量を勝手に変えることは失礼かと思いその場をやり過ごしたけど、テレビを見てストレスを感じるとはなんだかな気持ちになった。

しばらくして、その人と一緒に暮らすことになった。そして一緒に暮らしてもテレビの音量は変わらなかった。

毎日、耳を澄ましてテレビの画面の中の人の表情を見て、ヒントのテロップから何を話しているのか推測する。少しでも物音なんか立てたらまったく聞こえない。

娯楽のはずのテレビが、音量のせいでストレスになる始末。一緒に住んでわかったことだけど、その人は音に対してほんとにうるさい人だった。大きな音なんか出そうものなら睨んでくる。こわいこわい。

なぜそんなに音に対してうるさいのか聞くことはなかった。その時はあまりに普段から真剣にテレビの音を聞いていたから、その人の話まで真剣に聞く気力はなかった。

音楽さえ楽しめない生活

音楽を聴くことが好きでコンポを持っていた。その人と暮らすときももちろんコンポを部屋に設置した。音楽を聴くことが癒やしでもあるのだ。

いままでの話から容易に想像つくだろうけど、気持ちよく音楽なんか聴けたものではなかった。音楽を流すときも、ボリュームは限界まで絞っていた。そうすると輪郭がはっきりしない音たちが申し訳なさそうにスピーカーから出てくるだけだった。

なので音楽を聴きたい時はコンポの前に座り、お坊さんから大事な説法を聞くような態勢でいなければならない。ながらで音楽を聴くなんてことはできない。意識を集中させなければいけないのだ。

「音量を上げてもいいよ」とは言われたものの、私は遠慮をしてしまった。私が理想とする音量にしたら、失神してしまうかもしれないから。

音を排除してストレスが溜まる

そのような生活をしていた私はコンポで音楽を聴かなくなった。そしてコンポは押し入れにひっそりと入れられた。

そのうちイヤホンをして音楽を聴く生活になった。それと同時にテレビを見る機会も減った。スマホで動画をイヤホンしながら見るほうが音量に関しては快適だったから。

でもその生活をしている間、私はストレスしかなかった。

近所迷惑を気にしていたのかもしれない(過去に音量で怒鳴られた経験があったのだろうか)。とはいっても、ほぼ聞こえない音量でテレビを見るならばテレビを設置しなければいいのにと思う。

その人はテレビが好きらしく大きい画面のテレビを買っていた。画面は大きいのに、音量は相変わらず小さいまま。それが妙に滑稽に見えてしまった。

もしかするとテロップを見やすくするために大きくしたくなったのかもしれない。

一緒に暮らす前に確認すること

「テレビの音量はどれくらいがちょうどいい?」
その小さな一言が、静かに忍び寄るすれ違いを防ぐ、大きな第一歩になるかもしれません。

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日常エッセイスト
1984年生まれ。 普段は平凡な毎日を送っています。 小さなできごと(いいことも、わるいことも)を、このブログに書き留めています。
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